この支出は経費になるのか?よく迷いますよね。自営業の経費になるのかどうかの判断基準を説明します

1.個人事業主の経費とは?

個人事業主は、毎年1月1日から12月31日までの収入と支出を計算して、翌年の3月15日までに税務署に計算資料を提出しなければなりません。これが、確定申告と呼ばれる手続きです。

そして、この確定申告では、1年間の収入と支出の差額である「儲け」に対して所得税を納めることになります。

正しい呼び方は、収入のことを「売上」といい、支出のことは「経費(必要経費ともいいます)」といいます。

「売上」から「経費」を差し引いて、所得税の対象となる「儲け」を計算しますので、所得税を少なくするためには、「儲け」をできる限り少なくすることが必要になります。「売上」をごまかしたり、架空の「経費」を計上したりすることは脱税ですので、論外ですが、計上できる「経費」は、もれなく計上することが節税の基本です

「売上」は、お客様からいただいたお金ですから判断に迷うことは無いのですが、「経費」は、仕事に関するものはわかりやすいですが、多少プライベートが混ざるようなものもあるので、非常に迷うことが多いと思います。

2.どこまで経費になるの?

経費の判断基準の大前提

その支出が売上につながるかどうか

非常に抽象的ですが、これが大前提になります。例えば、飲食店の仕入れ代金や人件費、家賃を考えれば、お客さんがお店に来て、接客して、料理を出すとうことを考えればすべて経費なるということになります。

判断に悩むのが、おそらく衣食住関連の支出だと思います。特に事業主の衣食住です。
例えば、飲食店オーナーシェフの制服代は、間違いなく経費になるでしょう。ただ、プライベートでも着用できるスーツ代になると、売上につながるかどうかが不明になるため、グレーな支出ということになります。
次に「食」関連では交際費です。税務調査でもしばしば問題になる経費です。売上を増やす顧客開拓のための交際費であれば、問題なしといえるでしょう。これが、例えば同業者間の懇親のためや、同窓会などだとプライペートの支出とされるリスクが高くなります。家族での食事代はほぼ100%アウトです。
そして「住」関連では自分の住まいです。賃貸している自宅の家賃を経費にはできませんが、自宅兼事務所、自宅兼店舗などの場合、よくその割合が問題になります。仕事で使っている面積、自宅の面積はしっかりと計測して、説明できるようにしておきましょう

逆に言えば、プライベートっぽい支出をいかに、「経費」に計上するかが節税のポイントでもあります。判断基準があいまいではありますが、税務署が納得できるような根拠をもって、しっかり「経費」に計上するようにしましょう。

3.経費にできない領収書、怪しまれる領収書

経費にできない領収書や税務署から怪しまれる領収書の例を挙げます。

・家族だけの食事代
・自宅近くの領収書(プライベートでは?)
・電子マネーのチャージ(二重に計上していない?)
・同じ日付のコンビニのレシート(レジの箱から拾った?)
・「お品代」の領収書
・商品券の領収書

経費の計上は、税理士でも個人差があります。大前提は、上記のとおり「売上につながるかどうか」です。しっかり理由付けをしなから、自信をもって経費計上をしましょう。