新たに事業をはじめた場合、やるべきことはたくさんあると思いますが、その中で税金関係、特に所得税の節税を実現するために必要なことを3つ説明します。

1.所得税節税のためにやるべきポイントは3つ

個人事業主が開業後にすべき手続きはたくさんありますが、開業後に損をしないために必要な手続きをまずは3つ挙げます。これから開業を予定している方も、これだけ覚えておけば、スムーズな開業が実現できると思います。

・開業前の領収書を集める

・税務署への届出書の提出

・節税準備

2.所得税の計算方法

まずは所得税の計算方法を簡単に説明します。

所得税は、所得金額から所得控除を引いた金額に税率(5~45%)を掛けて算出します。

この所得金額ですが、個人事業主の場合、売上高から経費(必要経費といいます)を差し引き、さらに青色申告特別控除(10or55or65万円)などを差し引いて計算します。

そして所得控除ですが、これは”医療費控除”、”ふるさと納税”、”生命保険料控除”など、所得税を計算する上で税控除することが特別に認められた支出です。

税率は、最低5%から最高45%です。金額によって税率があがっていく”超過累進税率”となっています。なお、この所得税以外に復興所得税が2.1%、住民税が10%、事業税が業種で変わりますが3~5%かかることになります。

3.やるべきこと 開業前の領収書を集める

開業前の支出であっても、開業後の所得税の計算において経費に計上して、税金を節税することができます。

これが、開業費と呼ばれるものです。

もし、今サラリーマンであり、少しでも開業する意思があれば、やろうとしている事業に関連する支出の領収書やレシートはもれなくとっておきましょう。開業後の事業に関連する支出であれば、基本的には”開業費”として計上できますので、少しでも多く集計できれば、開業後の助けになると思います。

さらに、この”開業費”は、”任意償却”といって、自由に経費計上が可能になります。例えば、”開業費”が100万円あったとして、開業年に100万円計上しても、5年間で20万円づつ計上してもOKということです。すごく自由度の高い経費ということです。

4.やるべきこと 税務署への届出書の提出

開業したら税務署に届出書を提出する必要があります。中でも”青色申告”関係の書類は、期限以内に提出しないと優遇措置が受けられなくなるため、注意が必要です。

➀ 開業届 (開業後1カ月以内に提出)

➁ 給与支払事務所との解説届 (開業後1カ月以内に提出)

➂ 源泉所得税の納期の特例の承認申請書 (なるべく早く提出)

➃ 青色申告承認申請書 (開業後2カ月以内に提出)

➄ 青色専従者給与の届出書 (開業後2カ月以内に提出)

上記のうち➃の青色申告承認申請書は期限以内に提出しないと、青色申告特別控除65万円などの恩恵が受けられなくなってしまいますので、忘れないようにしてください。➄の青色専従者給与は、配偶者などへの給与を必要経費にするために必要な届出になります。こちらも期限以内に出さないと損しますので、お忘れないように

5.やるべきこと 節税準備

個人事業主になるとサラリーマン時代にはできなかったような節税対策が多くあります。以下が代表的な節税対策になります。確定申告間際に実施しても、大した節税効果が得られないことがあるので、早めの対策が重要です。

・青色専従者給与の計上(届出必要)

・小規模企業共済への加入

・倒産防止共済への加入

・30万円未満の固定資産の取得

・イデコへの加入

・ふるさと納税

ある程度、個人事業で売上高や利益が見込めれるようになった際には、法人成りの検討が次のステージになると思います。社会保険料の節約など、そんなに売上高がなくても、メリットの方が大きくなる場合もあるので、こちらも早めに検討した方が得策だと思います。