令和4年も残すところあと数日となりました。今年たくさん稼いだ人は、年明けの確定申告で多額の税金を支払うこととなってしまいます。
確定申告では毎年12月31日までの1年間の売上と経費に基づいて税金を計算します。個人事業主の方を中心に、まだ節税できることはありますので、いくつかご紹介します。

1.個人事業主の税金の計算方法

個人事業主については、毎年1月1日から12月31日までの収入と支出を計算して、翌年の3月15日までに税務署に計算資料を提出しなければなりません。これが、確定申告と呼ばれる手続きです。

そして、この確定申告では、1年間の収入と支出の差である「儲け」に対して5~45%を掛けた計算した所得税を納めることになります。

正しい呼び方は、収入のことを「売上」といい、支出のことは「経費(必要経費ともいいます)」といいます。

「売上」から「経費」を差し引いて、所得税の対象となる「儲け」を計算しますので、所得税を少なくするためには、「儲け」をできる限り少なくすることが重要です。「売上」をごまかしたり、架空の「経費」を計上したりすることは「脱税」なので論外ですが、計上できる「経費」は、もれなく計上することが節税の基本です

「売上」は、お客様からいただいたお金ですから判断に迷うことは無いのですが、「経費」は、仕事に関するものはわかりやすいですが、多少プライベートが混ざるようなものもあるので、迷うことが非常に多いと思います。

2.年末まであと数日の状況でできる節税策3つ

上述したように、税金を少なくするためには、「儲け」をいかに少なくするかが鍵となります。

「売上」については、お客様に対するもので短期的に調整は難しいものだと思います。一方で「経費」については、自分だけの判断で調整可能だと思います。そのため、あと年末まであと数日という状況での節税策は、「経費」の積み増しが基本となります。

そこで今回挙げている節税策は次の3つです。

1.ふるさと納税

2.30万円未満の設備投資

3.不良在庫、不良資産及び不良債権の処分

3.ふるさと納税

ふるさと納税とは、住所がある市区町村への住民税の支払いに変えて、他の市区町村に寄付することにより、寄付額の30%相当の返礼品がもらえるという制度です。
2,000円は自己負担が発生しますが、これを超える部分は丸々所得税・住民税が減額されることとなり、実質返礼品がただでもらえることになります。

注意点としては所得水準に対応したふるさと納税できる限度額が設定されているということです。限度額をオーバーした部分については、返戻品はもらえますが、所得税・住民税は減額されないため純粋な寄付ということになってしまいます。

ふるさと納税は限度額ギリギリまで行うことが望ましいので、改めてシミュレーションしまだ限度額まで余裕があれば、12月31日までふるさと納税を行いましょう。

4.30万円未満の設備投資

個人事業主が「設備投資」をした場合、通常一発では経費にならずに、その資産の耐用年数にわたって「減価償却費」という項目で長期間かけて経費にしていくことになります。

ただし、この「減価償却費」にも特例があり、1つあたりの金額が30万円未満の資産については、いくつか要件がありますが一発で経費に計上していいことになっています。
要件は、青色申告者であること、この特例を使った資産の金額の合計が300万円までなどです。

また、購入しただけでは経費に計上することはできません。年内に使いはじめたということが必要になりますので、例えばパソコンであれば、購入した後に電気を通し、OSを立ち上げておくことが必要ということです。

5.不良在庫、不良資産及び不良債権の処分

不良在庫、不良資産及び不良債権は、現物を保有し続けている限り、原則として経費に計上することはできません。
実際に経費に計上するためには、不良在庫及び不良資産であれば、廃棄処理する必要があります。また、不良債権であれば、相手先が支払不能状態にあることとや債権放棄してあげることが原則必要です。

そのため不良在庫及び不良資産であれば、大掃除もかねて実際に廃棄処理してはどうでしょうか。実際の廃棄処理が年明けになっていても、事業所内のごみ置き場においておけば(写真をとり証拠として残したほうがよい)年内の経費できる可能性もあります。
不良債権については、相手先が支払不能状態ということが確実であれば、債権放棄通知が年内に先方に届くようにして、貸倒損失として経費の計上ができるかもしれません。