上場株式等の配当や売却益を申告するときは注意してください! (社会保険料や医療費負担が高くなる可能性があります)

1.上場株式等の配当や譲渡所得の課税方法が変わります。

確定申告の際、上場株式等の配当や売却益は特定口座内のものは、原則、確定申告不要とされていますが、「申告すると所得税・住民税を取り戻せるよ」ということを聞いて確定申告をしていた方も多いと思います。令和4年度の確定申告までは、所得税と住民税で異なる課税方式を選択すること(所得税では申告し、住民税では申告不要とすること)により問題が生じませんでした。

しかし、税制改正により令和5年度以降の確定申告では、所得税と住民税の課税方式を一致することとなりました。ここで大きな問題となるのが、下記の3点になります。

2.上場株式等の配当や売却益を申告するときは注意点!

・国民健康保険料と介護保険料(自営業の方)、後期高齢者医療保険料が増加する可能性があります。

・70歳以上の方は医療費の窓口負担割合が高くなる可能性があります。

・国保の給付関連の自己負担額が増加する可能性があります。

3.なぜそうなるの?

上記の2の算定には、住民税の課税標準がベースになります。この住民税の課税標準のもとになる金額は、所得税の確定申告をした金額です。令和4年度までは、上場株式等の配当や売却益は所得税で確定申告をしても、住民税では申告をしないということが可能でした。この結果、上場株式等の配当や譲渡所得は、所得税は還付されるが、社会保険料や医療費の窓口負担割合に影響をさせないということが可能でした。

ところが、令和5年確定申告分から制度が変更になります。所得税の確定申告をした金額は、住民税でも申告をすることになりました。この結果、所得税は還付されたけど、上記2のような影響が出てくる可能があります。

さらに、一度確定申告で申告をしてしまうと、修正や取り消しはできません。

令和5年度の上場株式等の配当や譲渡を確定申告する際は、社会保険の影響も考えて行ってくださいね!